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W3Cの実際の業務とは?W3Cのフェローの方にインタビューしました!

W3C(Word Wide Web Consortium)は、HTMLやCSSなどのWebの標準規格を開発している国際的なコミュニティです。W3Cは、W3Cの加盟団体、フルタイムスタッフ、そして一般の方々で構成されています。W3Cが開催するTPAC (W3C Technical Plenary and Advisory Committee Meetings)と呼ばれる、普段世界中に散らばっているW3Cのコミュニティメンバーや関係者たちが1年に1度同じ場所に集まり、face-to-faceでWebの標準化にかかわる開発を進めるイベントが、今年は9月16~20日に福岡で開催されました。

今回は、インターネット・アカデミーインド支店の社員であり、W3Cのフェローで普段はアメリカのボストンに駐在しているターニャさんがTPAC参加後に東京に立ち寄られましたので、W3Cについてインタビューをさせていただきました。

W3C インタビュー

目次

W3Cとは

ーはじめに、W3Cについて教えてください。

W3Cはティム・バーナーズ=リー卿によって創設されました。ティム・バーナーズ=リー卿はWebの発明者で、ハイパーテキストシステムを開発した人物でもあります。

W3Cとは、Web(World Wide Web)技術の標準化を行っている非営利のコミュニティで「World Wide Web Consortium」の略称です。「Webの長期的な成長を約束する(ensure the long-term growth of the Web)」という目的のもと、Webで使われるHTML、CSS等の技術を標準化して、互換性を確保するために1994年に設立されました。自動車技術、メディアや娯楽、支払いや商業、出版、遠距離通信などの多種多様な業種にかかわる様々な技術の開発や、Webにおけるアクセシビリティの標準化などもに取り組んでいます。

現在、W3Cには450近い団体がメンバーとしてW3Cに加盟し、Web標準規格の策定に向けて活動しています。W3Cのメンバーと聞くと、IT企業が多いのではないかと思うかもしれません。しかし実際は、放送会社、銀行、大学や調査組織など、様々な業界の企業や団体も加盟しています。これは、Webがいかに多くの業界に影響をもたらしているかを表しているかが分かるでしょう。W3CはアメリカのMITコンピュータ科学・人工知能研究所(MIT CSAIL)と、フランスの欧州情報処理数学研究コンソーシアム(ERCIM)、中国の北京航空航天大学、日本の慶應義塾大学にサポートされながら活動を行っています。

ちなみに、日本ではソフトバンクやソニー・パナソニックなどの名だたる企業48社がメンバーとなっています。私の所属するインターネット・アカデミーもメンバーであることはとても誇らしいですね。

ーW3Cは具体的にどのような活動をしているのですか?

W3Cは25年もの間、Webの基盤と構造を構成するWebの基準を策定する活動をしてきました。その中でもW3Cのメインの活動は、安全性やプライバシー、高いアクセシビリティを担保しながら世界中のだれもが平等に扱えるWebの新技術を開発し、プロモーションを行い、その新技術を使ってもらうように啓蒙をしていくことです。

しかし、こういった開発は必ずしもW3Cだけでは実現できるわけではありません。Webの基準はあらゆる業界で、平等かつ中立的なものでなければいけないからです。 ですので、W3Cは業界のメンバー企業をお招きし、共同で協議を繰り返しながらWebに関する技術の標準化を行なっています。より多くの企業にW3Cのメンバーになっていただくことで、同じ業界の企業はもちろん、他の業界も含めて平等な標準規格を作っています。

企業がW3Cのメンバーになっていただくことは、W3Cにも標準規格を作れるというメリットがありますが、企業側にも、全ての人に使われうる業界の新しい基準の標準化に参画できるというメリットがあります。

例えば、あなたがEC企業にいるとして、新しいWebでの決済技術を作りたいとなった場合、そのEC企業がW3Cメンバーであればその業界の新決済技術の標準化にあなたの企業が積極的にかかわることができるようになる可能性が高くなります。

W3Cは多くの業界の企業と連携し、あらゆる人に適した標準規格を作成する活動を行っています。

W3Cの活動

ーW3Cの活動は、どのようにして行われているのですか?

W3Cのメンバーは世界各国にいるため、基本的にはビデオ会議を行っています。もちろん、必要であれば直接会って会議をすることもあります。  

また、W3Cでは年に1度TPAC(W3C Technical Plenary and Advisory Committee Meetings)と呼ばれるミーティングを行っています。TPACとは、世界各国のW3Cの社員やフェロー、コミュニティーメンバーたちが集まり、5日間に渡ってディスカッションをするという大きなミーティングです。TPACは北アメリカやヨーロッパ、アジアなど毎年違う場所で行われていて、今年は日本の福岡県で開催されました。私も今回福岡でこのTPACに参加してきました。

W3Cでの仕事内容

ーターニャさんご自身はW3Cとして主にどのような活動をしていますか?

私はW3CのMarketing & Communicationというチームで、フェロー(ノンフルタイムワーカー)として働いており、W3Cとインターネット・アカデミーの仕事を1:1の割合で行っています。

W3Cでの私の仕事内容は大きく分けて4つです。

①W3Cメンバーに勧誘するための資料作成

企業がW3Cのメンバーになってもらえるように、W3Cの実績を示せる資料作成をしています。また、将来のWebやWeb技術のポテンシャルに貢献していきたいと考えている企業にリーチできるように、ランディングページの作成も行っています。こういった活動をすることで、W3Cというコミュニティや我々のビジョンを多くの人に示すショーケースの役割も持っているのです。

②Webの標準化にかかわる開発完了後のプロモーション活動

ある技術の標準化などが完了した後、その技術を使ってもらえなければ意味がありません。ですので、Marketing & Communicationチームの主な活動として、作成者、開発者やWebにかかわるコミュニティの皆さんが標準化された技術に気づいてもらえるように、ニュースのシェアや広報活動を行っています。Marketing & Communicationチームでは主に、ブログ、ニュース記事、プレスリリースやSNSを使って広報活動を行っています。

W3C プロモーション

③W3Cの公式サイトのアップデート

現在のバージョンのW3CのWebサイトは2008年から使用しているもので、高いアクセシビリティやユーザビリティを実現する必要があるのはもちろん、日々増大している多くの訪問者のニーズを反映しなければいけません。ですので、W3C公式Webサイトのリニューアルに向けてたアップデートを計画しています。

しかし、W3Cのサイトは世界各国の人によって色々な言語やフレームワークで作られ、維持されているシステムが複雑に入り組むWebサイトになっています。ですので、現状Webサイト上に存在する重要な情報が何一つかけることなく、アップデートは慎重に行う必要があります。アップデートをすることで、多くのユーザーが簡単に知りたい情報にW3CのWebサイト上で辿り着けるようになればいいと考えています。

④W3Cのブランドを広める

また、W3Cのブランドを広める活動も行っています。

Webは私たちの生きる時代の最も重要なイノベーションの1つで、Webが人々の役に立つように保つのがW3Cの責任でもあります。しかしながら、多くのWebユーザーはもちろん、開発者やW3Cの技術を使用している会社までも、W3Cの存在自体しらないことがあります。 世界中の人々の関心は急速に変わりつつあります。今日では、プライバシー、セキュリティー、アクセシビリティや、全てのオンラインユーザーのニーズを正しく反映するためにWeb上での国際化の必要性を一段と意識するようになってきました。

私たちは、これらの問題を解決するために働くコミュニティがあることを多くの皆さんに知ってもらいたいのです。そして私たちが持っているビジョンを共感し、未来のWebに向かって共に貢献していただきたいと考えています。

W3Cの魅力

ーターニャさんはW3Cのどのようなところに魅力を感じていますか?

W3Cの創設者であるティム・バーナーズ=リー卿は、1991年にWWW(World Wide Web)を全ての人に対して無料で公開しました。彼はWebは、世界中の誰が利用しても利益や幸福をもたらすべきであると提唱し、Webを無料で公開、そしてW3Cを設立したのです。 私は彼の考え、また彼の考えを引き継いでいるW3Cの活動に共感していますし、そのW3Cの一員として一緒に活動できることが誇りであり、大変光栄です。

"We need to make the world better by making web better."
(Webの発展によって世界をより良いものにする)

私はこの言葉を信念としてW3Cにかかわっている多くの人々に囲まれ、常に刺激を受けています。 この言葉を胸に、私も引き続きWebの繁栄と発展に努めていきます。  

ターニャさん、お忙しい中インタビューにお応えいただきありがとうございました。

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この記事の著者

itra
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