プロデュース・ディレクション

Webサイト制作における基本契約・個別契約・NDAの注意点

Web制作会社を選定し、仕事を始める際に交わすことになる業務契約書。Webサイトの制作プロジェクトで関わる契約書は主に「基本契約」「個別契約」「NDA(秘密保持契約書)」の3種類となります。Web担当者にも知っておいてもらいたい注意点をまとめました。

契約書

目次

Web制作の基本契約のポイント

最初に結ぶ契約が、「基本契約書」です。各企業の法務に関わるものなので、あらためて述べる必要がないことかもしれませんが、Webサイト制作プロジェクトにおいて特に注意が必要な点のみ列挙しておきます。

制作物の権利の帰属

Web制作会社であるITRAの場合は基本契約を「Webコンテンツ制作業務委託契約書」という名前で交わしています。注意してほしいのは、制作物の権利関係。Webデザインデータや完成したソースプログラムなど、制作物はすべてお客様企業に帰属することになっているかどうかです。

システム開発会社やWeb制作会社との契約ではそれが当たり前で、Photoshop形式のデザインデータや写真なども納品し、修正・加工は自由となりますが、デザイン会社が請け負う場合では一次著作物はデザイナーに帰属するものとして、元のデータが渡されない場合があります。

Webサイトの公開後にデータを編集したい場合や、別の紙媒体で使用したい場合など、別途費用がかかってくる可能性があるため、制作物の権利はあらかじめ確認をしておきましょう。

検収期間

商品や印刷物であれば、納品物をその場で確認して「検収」となりますが、Webサイトやプログラムは納品後しばらく運用してみないとわからないことがあるものです。いくらテスト環境で念入りにチェックしたとしても、実際のユーザーがどんなブラウザやメーラーを使っているかわからないため、一般公開後に問題点に気がつくこともしばしばです。

このためWebサイト制作プロジェクトでは、公開してから一定の検収期間が設けられ、その間に見つかった問題にはWeb制作会社が対応します。Webサイト制作を行っている弊社ITRAでは通常7日間の検収期間を設けていますが、プロジェクトの規模によっては1ヶ月程度までの延長をお客様からご要望を受けることもあります。

瑕疵担保責任

建築事業ではよくある項目ですが、Webサイト制作プロジェクトでも必ず瑕疵担保責任の期間を明確にします。

ITRAの場合は通常、公開から半年までとしています。そもそもWebサイトは運営しながら改良・成長させ続けなければならないものですので、どこがカットオーバー(完成)か曖昧です。Webサイト制作プロジェクトの進行中の議事録に基づいた仕様にて一般公開を行い、もしも変更すべきという判断になったならば、次の段階で締結する「保守契約」の中で対応します。「保守契約」に関しては以前書いた記事「保守・メンテナンス契約」をご覧ください。

賠償責任

お客様の法務部との協議対象となりやすい部分です。ITRAでは賠償責任を「委託代金を上限とする」という項目を入れさせていただく場合がありますが、その文言をとってくださいと言われることがあります。特に個人情報を収集するWebサイトの場合、万が一の賠償リスクが大きくなることがなどが理由として挙げられます。そのような場合、リスク管理に対する追加費用を見積もらせていただくことがあります。

反社会的勢力の排除

2011年に東京都で暴力団排除条例が施行され、暴力団関係者でないことを契約の際に確認し、契約上暴排条項を設けることが条例で義務づけられました。これを受けて近年、Web業界でも業務請負契約にこの項目を入れるようになってきています。

秘密保持契約のポイント

秘密保持

NDAを交わす時期

「NDA(秘密保持契約書)」は基本契約よりも前の段階で交わすこともあります。提案コンペを行う際のRFPにも企業の重要な情報が開示されているため、最近ではNDAをRFPと一緒に配布することも多いです。

秘密保持契約は主に、お客様から預かった情報が外部に漏洩しないよう、管理方法を明確に記載します。ITRAでは自社のNDAの雛形を用意しています。

「個人データの保護に関する覚書」が必要な場合も

訪問者の個人情報を預かるようなWebサービスを構築する場合は、基本的なNDAの範囲では足りないことがあります。その場合、ITRAでは別途「個人データの保護に関する覚書」を交わしています。

内容は案件ベースで異なりますが、基本的にはWeb 制作会社としての情報管理の責務、「組織的安全管理措置」と「人的安全管理措置」「技術的安全管理措置」の3つを明確にしたものとなります。この契約を結んだ場合は、Web 制作会社には企業のリスクマネジメント部門から定期的な社内チェックを受けたり、社員のSNS利用状況を報告したりといった義務も発生します。

個別契約のポイント

個別契約の必要項目

もうひとつ、案件ベースでの個別契約書も交わすことがあります。ここはお客様企業との協議にもよるところですが、ITRAの場合は通常、注文書の発行をもって個別契約としています。

個別契約には「業務の委託内容」「成果物」「委託料」「納期」といった項目を記載します。個別契約内容を契約書式でほしいというケースと注文書でよいというケース、企業によってそれぞれに対応しています。

まとめ

以上、今回はWebサイト制作における基本契約・個別契約・NDAの重要な注意点をご紹介しました。Webサイト制作をする際にはこのような契約は制作会社によって異なる場合があります。しっかりと制作会社と契約内容を確認するよう心がけてください。

この記事の著者

itra
ITRA株式会社

官公庁や大手企業を中心とした大規模なWebサイトを総合的にプロデュースするWeb制作会社。デザインからシステム、サーバーまでWebサイトに関わるお客様の悩みを解決します。

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