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保守運用とは?保守契約書の内容やWeb制作会社選定のポイント

Webサイトの保守契約の必要性を正しく理解していますか?制作したWebサイトをより最新な情報、かつ安全に保つために、Web制作会社と適切な保守契約を結ぶことは必須です。この記事では、多くのWebサイト制作実績を持つITRA株式会社が、保守運用の必要性や内容、ポイントを掲載しています。約5分程度で読める内容ですので、保守運用についてお困りの方はぜひ一度目を通してみてください。

目次

保守・メンテナンス契約とは

Web制作会社と結ぶ保守・メンテナンスとは、公開したWebサイトの状態を維持するための業務のことです。具体的には、サーバーのクラウドサービス導入時の社外のホスティング会社との仲介や、サイバー攻撃が起きた際の状況を把握、復旧などの対応をします。

保守・運用契約の必要性

Webサイトの保守・メンテナンスの範囲は非常に多岐にわたるので、どの範囲までを依頼するかは企業次第です。しかし、Webサイトに万が一の事態が起きた際に企業の信用を落とさないためにも、技術者の対応を保証する保守契約を求める企業が増えています。

保守と運用の違いは?

簡単にいうと、保守は制作したWebサイトを通常通りに公開し続けるための業務で、運用はWebサイトをより最新で使いやすく更新する業務です。「保守運用」とまとめて呼ばれるように、Web制作会社によっては統合しているところも多いです。

保守・運用の限界は?

保守・運用サポートとは、一般的にWebサイトの状態維持と更新に関する業務なので、工数のためにWebサイトの現状を改善する作業は保守運用サポートに含まれません。Webサイトを制作する前の見積もりの時点で契約している維持・更新作業に含まれないような、デザインの変更やページの追加などの大幅な変更は改修とされ、都度見積もりで費用がかかります。

保守契約書の項目・内容例

まずは「保守業務仕様書」を作成して、契約を交わします。Web担当者としても、自社がどのような保守サービスを契約しているのかを確認しておくことが必要です。

保守の対象は主に、Webサイト制作時に制作したHTML、画像データ、プログラムデータ等、Webサーバーにアップされているコンテンツ関連データなどのWebコンテンツです。

今回は一例としてWebMediaを運営する弊社ITRAの保守契約書に含まれる項目を紹介します。

  • 各種サービスの契約代行管理業務
  • Webサーバー保守
  • Webサーバーの障害対応
  • DNSサーバーの保守管理
  • CMSなど導入しているツールの保守
  • 対応時間・対応体制
  • 開発環境の維持
  • ヘルプデスクサポート
  • 緊急公開対応
  • 緊急対応連絡網
  • サーバーレポート
  • マーケティングレポート

各種サービスの契約代行管理業務

契約代行管理業務とは、Webコンテンツの公開するための環境を維持することです。契約代行管理業務に当てはまるサービスは、サーバーやドメイン、SSL証明書、その他セキュリティーソフト、CMSなどです。制作前の見積もりの段階で、依頼者側が自社で契約を行うか、依頼するかを決定します。

Webサーバー保守

Webサーバーの保守とは、WindowsなどのOSに、一部変更点を加えてバグを修正するOSへのパッチ適用や、サーバー管理者のアカウントやメールアドレスの管理、Web/DBサーバーのバックアップなどを定期的に行うことです。もしもサーバーの契約代行しか保守に含んでおらず、Webサーバー保守を契約していなかった場合、サーバーにトラブルが発生してWebサイトが表示されない事態が起きれば、別途追加料金で保守を契約しなければならなくなってしまいます。

Webサーバーの障害対応

Webサーバーの障害対応とは、Webサーバーが安定して動くように監視し、異常が見つかった際に適切な復旧作業を行うことです。Webサーバーのシステムに障害が発生した場合には、事前に指定された手順に従って、障害検知→障害発生確認→発生カ所の特定→障害報告(復旧報告)→障害復旧作業を行います。

サーバー障害によるWebサイトの表示エラーで、Webサイトに訪れるお客様の信用を失わないためにも、障害が起こった際に迅速に対応できる環境を保守に含めておく必要があります。

DNSサーバーの保守管理

DNSサーバーの保守管理では、特設サイトやスペシャルサイトを立ち上げる際など、サブドメイン・新規ドメインの追加と設定を代行します。

CMSなど導入しているツールの保守

導入しているCMSに合わせ、セキュリティバージョンアップの適用やメンテナンスを行います。

対応時間・対応体制

対応に関する保守とは、Webサイトの公開後にトラブルや質問、新しい要望などが発生した際、業務時間とされている時間の対応、連絡が取れる体制を約束することです。担当者の異動や休業がある場合には、制作会社の中で他の担当者に引き継ぎを行い、依頼者が困らないようにします。

開発環境の維持

開発環境の維持とは、Webサイトを構築する際に利用したテストサイトの環境を維持することです。テスト環境の使えるサーバーを残しておくことで、再度開発に関する変更点があった場合にすぐ対応することができます。Webサーバーの維持にはデータ容量がかかるので、保守として契約する必要があります。

ヘルプデスクサポート

ヘルプデスクサポートとは、公開後の、HTMLやCMSの操作、仕様に関する相談への対応のことです。サーバーへの接続の仕方がわからなくなってしまった、パスワードを紛失して、ログインできなくなってしまったなどの緊急時に、専門知識を持った担当者が回答します。

Webサイトが公開された後、Web担当者だけの力でWebサイトのコンテンツの更新や変更を行う際に、どうしても難しい場合があり、ほとんどのお客様が制作会社に質問や相談を尋ねます。そのときにヘルプデスクサポートを保守に入れておかないと、質問ができなくなってします。

Web担当者の負担を減らし、結果的に時間や労力、費用の削減ができるので、ヘルプデスクサポートを保守として契約しておくことは大切です。

緊急公開対応

緊急公開対応とは、担当者が休みの場合や、別部署の方など、緊急を要する情報の公開に関して、CMSの操作を代理で行うなどの業務を指します。

緊急対応連絡網

緊急対応連絡網とは、Webサイトにアクセスが集中したりトラブルが起こった際に、対応できる担当者と、その担当者と連絡が取れなかった場合に代わりに対応する担当者の連絡先をまとめたものです。

例えば、おせちを販売しているECサイトでは、年末に多くの人がWebサイトにアクセスしますよね。おせちのWebサイトに一気にアクセスが集中すれば、サーバーがダウンしてしまうこともあります。サーバーダウンはWebサイトの信用問題にも関わります。しかし、Web制作会社のほとんどが年末年始は休みです。そこで緊急対応連絡網があれば、Web制作会社が休みでも、担当者と連絡をとって対応してもらうことができます。

特定の企業にとっては大切な時期である年末年始にも連絡がつくようにするには、保守として契約しておくことが必要です。

サーバーレポート

サーバーレポートとは、サーバーのリソース状況を定期的に取得して、毎月レポートとして報告するものです。Webサイトの多くは、Webサイトを立ち上げた後、コンテンツの追加が必要になります。サーバーの容量もコンテンツを増やすにつれ、増えていきます。

もしもサーバーレポートを保守として含んでいなければ、サーバーの容量がギリギリであることに気づかずに、サーバーが開かなくなってしまうなどの問題が生じるかもしれません。普段から自社でサーバーの容量を確認することは大変なので、保守として制作会社に依頼することが必要です。

マーケティングレポート

マーケティングレポートとは、サイトのアクセス、ユーザー傾向や競合他社の分析などの、毎月作成される報告書のことです。月次や四半期毎などで定期的にレポートをまとめ、サイトへの誘導を増やすための施策の改善提案などを行います。

Webサイトの担当者の中には、様々な作業を一手に引き受ける必要があり、マーケティングの調査や分析に時間を割けない人も多いでしょう。公開したWebサイトについて詳しく熟知している制作会社に代行してもらうことで、Webサイトのマーケティングについての客観的な評価や改善点などもレポートから知ることができます。

保守契約のポイント

最後に、保守契約を結ぶ際のポイントを3つ紹介します。

1. 保守業務もできるWeb制作会社を選ぶ

1つ目のポイントは、Webサイトを制作したWeb制作会社と保守サポートは分離させずに、一括で委託することです。必要な保守を自社や複数の制作会社に依頼していたことで、バグの原因究明の遅れや連絡漏れなどの、1つの制作会社に依頼していたら起きなかったトラブルが発生する可能性があります。

もちろん、保守としてどれだけ対応できるかどうかは、制作会社によって違います。先ほど紹介した保守の項目を全て受け持つには、幅広い知識と技術力が求められるので、必要な全ての保守を一手に依頼するのは、制作会社によっては難しいです。 実際、上記の項目のうち更新、システムの保守とテスト環境の維持のみを一般的な保守としている制作会社もあります。

WebMediaを運営するITRAでは、先ほど紹介した保守の項目全てを一般的な保守としており、制作するWebサイトの目的や依頼者側の要望に合わせて保守を追加しています。

社内の情報システム部門ではWebサーバーの保守まで手が回らないことが多いので、安全にWebサイトを運用するためにも、リニューアル時にはデザインやクリエイティブ性に加えて、保守・メンテナンス能力も重視してWeb制作会社を選ぶことが必要です。

2. 保守の範囲・運用体制を明確にする

2つ目は、Web制作会社との見積もりの段階で、自社のWebサイトの目的に対してはどのような保守が必要なのか、誰がどのように対応するのかを制作会社と相談しながら明確にしておくことです。保守は月額で支払うので、Webサイトの目的以上の保守を依頼しては、不必要に費用がかかってしまうかもしれません。また、Webサイトの目的に対して保守の項目が少なすぎた場合には、予想外のトラブルが起きる可能性や、保守を後から追加するために契約を修正する必要もあります。

特に障害対応など事前の取決めが難しい内容は、相談する窓口となるスタッフを決めておくことも重要になります。Web制作会社側のチーム体制や連絡先を明記してもらうのと同時に、自社内の担当者の連絡網も明確にしておくと、緊急時の初動のスピードが大きく変わります。

また、保守契約書では保守の範囲を明確にすることも大切です。「保守サポート」「ヘルプデスクサポート」などと曖昧な言葉で片づけてしまうと、双方の認識が合っておらず、公開後にスムーズに運営フェーズに入れない場合もあります。そのために、事前にそのWeb制作会社の持っている保守サポートの仕様書を提示してもらい、認識を合わせた上で業者を選定することをおすすめします。

3. CMS導入で保守運用を最小限にする

3つ目は、Web制作会社選定の際に、保守運用を最小限にする体制を提案してくれる制作会社を選ぶことです。保守運用には、制作後のWebサイトへの文章・画像の追加や変更も含まれます。自社で変更できるような内容だとしても、Web制作会社を通さなくてはなりません。

このような場合では、例えばCMSを導入して自社だけでコンテンツ内容の変更を簡単にできるような体制を作ることで、保守運用を最小限に抑えることができるでしょう。さらに、Webサイトの種類によっては、CMSで対応できる範囲を広くすることによって、運用が容易になり、全体的な構築費を抑えることができます。

CMSの導入はWebサイトの品質を保つために欠かせないものです。企業によって導入したいCMSもあるでしょうし、Web制作会社によっても得意なCMSがあるでしょう。CMSのメリット・デメリットを理解した上で、導入したいCMSの導入経験のあるWeb制作会社を選びましょう。

WordPressの保守

使用するCMSや保守のプランは、制作会社によって大きく変わります。世界で最も使用されているWordPressは、利用が無料である反面、多くのプラグインをする必要があったり、オープンソースで世界シェアが高いために、サイバー攻撃を受けやすいCMSです。CMS自体が無料なのだから保守の費用も安くなるだろうと思われがちですが、WordPressの保守はセキュリティ対策が必要なので、保守に多くの費用がかかります。

Web制作会社のセキュリティ対策には、WordPressが頻繁に行うバージョンアップへの対応も含まれます。プラグインのバージョンアップが間に合わなかったり、バージョンアップによってセキュリティが逆に弱くなったりすることがあるので、保守として、バージョンアップのタイミングの調査や対応が必要なのです。

まとめ

今回はWebサイト制作後に不可欠な保守運用について紹介しました。保守運用に含まれる内容と範囲を明確にした上で、より安全で簡単に、Webサイトの質を保持できるような保守契約を実現しましょう。

この記事の著者

itra
ITRA株式会社

官公庁や大手企業を中心とした大規模なWebサイトを総合的にプロデュースするWeb制作会社。デザインからシステム、サーバーまでWebサイトに関わるお客様の悩みを解決します。

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